ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

ライトニング・ストライク

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あらすじ

「悪魔に操られし雷が人々を襲う!」

 

 パッケージは大げさにすぎるも、本作では迫りくる連撃のイカヅチが良く表現されていた。機銃掃射の様に地を喰らいながら人々を射貫するシーンや、空爆さながらに街中を破壊するシーンなど、低予算パニック物としては十分及第点である。逃げ惑う愚民共を見ながらニヘラニヘラと気色悪く笑うのが本作の有効活用法であると提言する。

 

 一番の売りである雷がきちんと描かれているのは良いのだが、正直他はパッとしない。具体的には登場人物が多すぎて活かしきれていないのである。量の増加は質の低下、低予算映画界はもっとラムズフェルド・ドクトリンを取り入れてほしい。対称戦では非常に有効である。間違っても非対称戦には採用しないように。本ブログは少数精鋭機動軍を応援しています。

 

 主な登場人物は主人公である保安官、保安官の息子、医者、息子を雷に殺されたオッサン、息子を雷に殺されたオバハン、気象学者3人、町長である。主人公とオバハンは全くと言っていいほど絡みがなかったのにエンディングで突然引っ付く。気象学者は「天気がヤバいよヤバいよ」と気象学的出川哲郎の機能を果たすのみ。悪天候うんぬんぐらいTVのニュースキャスターあたりに一言二言しゃべらせればいいだろうに。

 

一番のマイナス点は主人公が主人公していないところである。彼はほぼ雷と対決することなく傍観するのみである。代わりに戦うのはオッサンである。彼は「雷撃のパワーを避雷針・改に流し込み、そのパワーで俺を“領域”に転送して悪魔をボコるぜ」という突っ込みどころ満載のソリューションを提案する。それがもたらす空しさが主人公の無力に拍車をかける。

 

 しかし登場人物の中にも美しき宝は存在する。それは町長である。彼は知能指数の低そうな身振り手振りを駆使するオネエ系っぽいおっさんである。グレースーツにオレンジのシャツ、レッドのネクタイで礼装した彼は半分腐った柿の様で実にフルーティーである。彼は「雷が怖いから何とかしろ」と専門家でもない保安官に命令する行政手腕を発揮、悪魔の雷が街中で大暴れして、市民が死傷し部下が目の前で死亡する状況に陥っても「待ってェ皆ァ逃げないでェ」と避難誘導する危機管理のプロフェッショナルとして君臨する。もちろん彼は雷撃を受け無事死亡した。バカの偏差値を極限まで高めてからの天誅。様式美を見せてくれた彼こそは、本作が誇る人間国宝である。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上