ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

女教師グロリア

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あらすじ

「大人の事情(嫌な意味で)」

 

 街を牛耳る麻薬組織のハゲはガキを売人にして学校にもヤクをばらまいていた。そのうちハゲは取り分をめぐってガキともめて彼を射殺。たまたまその場を目撃した主人公である中年の女性教師は勇気を振り絞って証言台に立つことを決意。彼女に忍び寄るハゲの魔の手…

 

 ストーリーそのものは至極まともなものである。しかし本作の失敗点は「遠慮」だと考えられる。教師という職業を考えてのことか、あるいは舞台が学校であるため現実の乱射事件に配慮したのか、それははわからないが、本作ではメインの学校での襲撃シーンで銃の使用が意図的にためらわれている節がある。

 

 主人公サイドも悪党サイドも銃を使わない。しかしストーリー上は悪党優位の攻防戦を演じなければならない。だが銃という最大の暴力を使えないという結果、本作ではハゲ達の恐ろしさを描くどころかハゲ達のアホぶりを描くという悲惨を展開してしまう。

 

 彼らは街を牛耳る悪党である。その彼らが殺人の証拠を抹消するために、証人保護の対象となった女教師を狙うのである。彼らは彼女の周囲が手薄になる休日出勤の日を狙い、電話線を切断、ECMまで使用して閉鎖空間を作り出し彼女を追い詰める準備を整える。しかしハゲは何故か「ことを荒立てたくない」と今更何言ってんだお前ワードを発動、襲撃のため用意した武装バールのようなものである。そしてハゲ達は校舎内で主人公を追い詰めていく。「バールじゃ防火扉を破れないぜ…」「何か方法を考えろ!」「元はといえばあんたがアホだからこんなことになったんだ!」内ゲバまで起こしつつ彼らは勝手に自壊してゆく。やがて警察が異変に気付いてパトカーがカミング、ハゲたちはアレストされてハッピーエンドである。「教師が生徒のために勇気を振り絞り悪に立ち向かう」というはずのストーリーが「ハゲ自滅 Let’s go to ポリスメン」である。なんと言葉をかけてよいのかわからない。

 

 学校と銃というテーマが向こうで相応の重さを持っていることは理解できるが、それでも、学校で銃なんて教育に悪いザマス的思考により本作に制限が加えられたとするならばそれは遺憾と言わざるを得ないだろう。感情論で犯罪が抑止できるなら刑事政策学者など必要ない。低予算映画ぐらい好きにつくらせてあげればよいのである。女教師が独立戦争時から伝わるケンタッキーライフルで悪党どもをどつきまわして「憲法修正第2条万歳!」と叫び、ドナルドは教師の銃携帯を義務化、校長がM4を持って事件を防ぐぐらいやってくれれば個人的には満足である。

 

 なお、音楽や映像の流れはごく普通の出来であったため、本作は世界丸見えテレビ特捜部の「マヌケな犯人特集映像」として流し見するのがおすすめである。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上