ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

ELITE SQUAD エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE

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あらすじ

「特殊部隊をもっと出さんかい!」

 

 本作で評価できるのは、陸空連携でマフィアを掃討する戦闘シーンである。ヘリコプターから指揮官が俯瞰した情報を元にして、マシンのように動く地上部隊がFN FALでギャングを一撃必中処分してゆく。このシーンは臨場感があり興奮して見れた。何よりもきちんと射撃をセミオートでしているところが評価できる。

 

 アクション映画でアサルトライフルフルオート射撃が乱用される事が、私の中で社会問題となって久しい。本ブログをご覧の方々は、学生時代射撃の授業で優秀な成績を修めたものと想像されるが、フルオートなんぞ当たらないんだよコンチクショウ。「『Heat』がヒットしたのはアル・パチーノがFN FNCをセミオートで射撃したから教」の教祖としては、むやみに弾丸をばらまいてウヒョウヒョする風潮に中指を立てた本作の演出には敬意を表したい。

 

 問題は本筋である。主人公のオッサンは深淵な思考の持ち主で「悪いやつを全員ぶっ殺せば悪いやつはいなくなるんや!」という、引き算しか勉強していない刑事政策のプロである。彼は公安の要職について色々やらかすが、結局「政治が悪いんや!」と宗旨替えし、当初毛嫌いしていた人権活動家と協力して議会で政治家を攻撃する。その結果、ワルの一角は死んだけど別の後釜が座って悪は続くぜベイベーというカタルシスもクソもない流れで本作は幕を下ろす。なお本作における本質的悪党の退治には特殊部隊が全くと言っていいほど関わらないという点もパッケージ詐欺の観点から評価に値する。

 

 大体、問題となっている政治腐敗についても、知事と地方議員がなんかスラムでウハウハしてるでぐらいの薄っぺらい設定しか用意されていない。社会派気取るならもうちょっと踏み込んで描写せんかいと。そもそもこの映画、開始数分で「本映画はリアルに作ってるけどフィクションなんやで」と思いっきり現実からの逃走用バイパス道路を建設している。アクションはちょろっと。社会派映画としては浅い。二兎を追うものはなんとやらとはこの映画のためにある言葉だろう。

 

 踏み込んで社会を描けないなら、作品はバカの地平線へと突っ走っていただきたい。すなわち政治家とは小保方並の真実を伝える能力と野々村並の老成された演説能力を持つ越後屋であらなくてはならない。そして彼らはFALの銃弾で神の下へと旅立つ、これでいいじゃないですか。社会の闇にフラッシュをあてるどころかローソクの光すら当てられないんだったら、頭悪い系でもいいからガンガン銃撃ってちょうだいな。その方がよっぽど資源の有効活用であり地球にやさしいヴィーガン的映画といえるだろう。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上