ワンコイン・ムービ-レビュー

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女処刑人

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あらすじ

「キレないし処刑もしない」

 

 主人公は乱射魔に母を撃ち殺された悲惨な過去を持つ女性である。見る角度によっては平安美人に見えてしまう彼女は、過去のショックで霊の声が聞こえる体質になってしまう。彼女は霊の依頼を嫌々きかされ憑依される他律的シャーマンとしてさらに悲惨な目に合う。シャーマンは自己の意思で霊を憑依させる自律的な存在だと思っていたが本作ではそれは誤った理解である。なんて悲惨な卑弥呼、そりゃ邪馬台国も滅びるはずである。それは近畿でも九州でもなくアメリカに存在したのだ。

 

 マフィアから金をパクった濡れ衣を着せられた兄ちゃんの霊が主人公に憑依して、従兄のバンダナ男を助けた結果、2人はマフィアに追われる身となってしまう。そして緊迫感に包まれたチェイスシーンが始まる。

 

 下っ端マフィアのデブが放つ立小便から必死で逃れるバンダナ。主人公は逃走中にも関わらず病院に乱入し、お産で死んだ母親の霊に憑依される。そして夫と子と抱擁。ナチュラルにそれを受け入れる面々。彼らの神経はバグっている。2人は無事マフィアに追いつかれシバかれる。すると濡れ衣兄ちゃんが主人公に再憑依。「金をパクったのはサブリーダーや!」と糾弾、なぜかそれを信じるマフィアのボス。この世界には疑いという概念が存在しないのだろうか。ボスとサブリーダーは相討ちで死んでハッピーエンド、かと思われた。

 

 しかしラスト15分で2重人格の変態がいきなりアポなし営業をかけてくる。彼は主人公に「俺を救ってくれ(救ってくれとは言っていない)」と依頼。一通りバグった後、首を絞められてあの世へ旅立たれた。すると唐突に主人公は母親の霊と邂逅する。母の霊は言う。「あなたにはまだやるべきことが残っているわ」、そのやるべきこととは何か。自明であろう、それは乱射魔の霊のアゴを、猫にするようにナデナデすることである。本気で意味が解らない。これが寛容の精神だというのなら哲学などアナルビーズである。

 

 主人公の設定が甘い。なぜ死者の魂と交信できるのか?それは主人公も死者みたいなもんだからや!という適当な設定には目をつぶるとしよう。しかし彼女は憑依された霊の能力を蓄積できるという設定の持ち主である。彼女自身が作中で豪語している。「私は4か国語を話し、CQCテクニックも身につけているのよ」。しかしそれらは全く生かされない。技能など全く発揮せず立小便デブにシバかれる、こんな主人公はオラ嫌だ。

 

 マフィアに追われながらのんきにおしゃべりをしつつ疑似卑弥呼プレイを楽しむ。本作は設定もストーリーもでろでろに溶けて消え去ったストロングゼロである。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上