ワンコイン・ムービ-レビュー

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ニューヨーク2014

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あらすじ

「101匹狼男ちゃん」

 

 狼に噛まれて病気をうつされたオバハンが空港の便所で泡吹いてぶっ倒れる清潔なシーンから物語は始まる。オバハンは筋肉モリモリマッチョマンの狼男へとトランスフォーム、次々と空港の旅行客や職員を襲撃する。オバハンに噛まれた人も感染して狼男へ。事態はどえらいことになる。

 

 アメリカ軍の将軍は「安全に事態を収拾するために毒ガスを使おう」とろくでもない案を叩き上げる。そう、毒ガスは安全なのだ。思い出してほしい、時は2002年、人権意識溢れるウォッカランドが劇場に監禁された民間人を救助するために毒ガスを使い民間人を殺戮した笑えないコントを。時は2018年、イギリスで売国奴を処分するのに使われた素晴らしい人道兵器を。ナンバーワンはロシア。アメリカはそれをパクったに過ぎないのである。

 

 まあフィクションなので、毒ガスによって感染者は人間に戻ることができた。しかし心拍数が150を超えると再び狼男化してしまう危険存在であることが明らかとなる。主人公である医官のオッサンは「第一感染者のオバハンを調べて抗体をつくろう」と提案し、同じく医官のオバハンと協力する。

 

 細かい所かもしれないが、主人公は医官のくせに全く医学知見を生かしていないのが残念だった。彼は「バケモノ化する可能性があっても彼らが人間であることに変わりはないんや」と人道的キャラクターとして狼男の前に生身で立ち向かったりする。だったら医官よりもジュラッシック・ワールドの飼育員みたいなポジション、軍で考えるなら基地警備犬の調教師やPTSD対策のカウンセラーとかに設定した方が良かったんじゃないのかと重箱をつついてみる。

 

 主人公の思いとは裏腹に、将軍は「こいつはえ生物兵器になるでぇ」とアンブレラ社並みのコンプライアンスを発動させ、感染者同士を戦わせて楽しんだりする。彼は治療のために奔走する医官オッサンをどつきまわして第一感染オバハンをいじくりまわす。すると第一感染オバハンは無事狼男化。すると何故か他の感染者もみんな狼男化して大脱走、マンハッタン島で大暴れする。

 

 鎮圧のために出動した軍隊は、銃の持つ射程距離の優位性をドブに投げ捨てて狼男の群れに突撃をかまし、ドッグフードへと転職して狼男たちの腹を満たすことに成功する。大統領の側近は「このままではパンデミックが起きます!マンハッタン島の市民200万人ごと爆弾でブッ飛ばしましょう!」と人権宣言を起草し、大統領がGoサインを出す。

 

 このカオスの中、医官オッサンと医官オバハンは第一感染オバハンを救助、抗体を作り出すことに成功する。もちろん将軍は彼らを妨害するが、無事狼男にスラッシュされた。

 

 後は抗体がある事を大統領に伝えて爆撃阻止や!しかしそこに現れたのは狼男化した将軍。そう、彼は感染し主人公に牙をむき続けるのだ。こういう、クソ野郎がそのクソぶりに磨きをかけて更なる高みのクソ野郎になって襲ってくるシチュエーションは嫌いではない。

 

 医官オッサンはこれにどう対抗したか。それは「自分も菌を注射して狼男になってバトル」である。この選択はいただけない。質がいいとは言いにくいCGの狼男が2体争うシーン、どっちがどっちかわからないのである。まあ細かいことはええやろとばかりに、ラストは第一感染オバハンがグレネードランチャーを将軍にぶち込み、将軍はタイラントみたいに汚い花火と化して無事死亡した。

 

 そして主人公は主張する。「抗体はあります!爆撃はやめて!」。大統領は答える。「わかった!おい!爆撃中止や!」。現場は答える。「え、もう撃ちましたよ」。ドカーン。しかし医官オッサンは無傷で助かり夕日に向かって微笑みThe Endである。爆撃のシーンいらないだろ。

 

 なんだかんだとツッコミどころはあるも、本作は全体的に安定した3流映画である。カウチポテトで時間をデストロイするにはピッタリの秀作と言ってもいいだろう。

 

 

総合評価・星4つ(ステキやん?)

★★★★☆

 

以上