ワンコイン・ムービ-レビュー

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ゾンビVS.スナイパー

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あらすじ

「スナイパー(狙撃はしない)」

 

 本作の主人公である牧師は、背中に油性ペンで書いた十字架を背負い、腰に漢字で「力」と書かれたベルトを締める王道的メンズノンノである。牧師は「彼」からの手紙の指示に従い女性の家に不法侵入する。

 

 出会った女性は口の悪いヤク中のニート。彼女と共に「彼」を待っていると、セスナ機から変な粉が巻かれ、街の住民たちがゾンビ化して内臓を喰らいあう町おこしを開始する。牧師とヤクニートは外界との接触を断ち家に引きこもることを選びつつ新興宗教の勧誘者や負傷したヤンキー夫婦を救助するダブルスタンダードを発揮。結果見事ヤンキー夫婦がSEX中にゾンビ化したあげく内から鍵を開けてゾンビ達を招き入れる。

 

 ゾンビ達との室内戦は混乱の中、ブレーカーが落ちたという状況下で行われる。ガッシボカッという緊張感あふれる効果音、時折照らされる懐中電灯は画面の5%程度しか明るみに出さない。この演出は暗闇の中の恐怖を意図したものか、大人数相手の戦闘シーンを上手く撮る技術がないからとりあえず暗くしてごまかしたのか。あえて語るまい。

 

 やがて牧師は自分の過去を語りだす。実は牧師は政府のアサシンで、「彼」はヤクニートの親父で同じくアサシン。昔はグルになって色々ヤンチャしたんだよ、反アメリカ的な奴を爆殺とか。一通り語り終わった牧師はいきなりバグりだし、二丁拳銃で庭のゾンビを撃ちに行く。頭部を破壊するために銃口を額に当てて発砲したり、発砲すらせずに肘鉄でゾンビを殴ったりするシーンを見ているとスナイパーという言葉の定義が洗練されてゆく。

 

 クソみたいな戦闘シーンがひと段落すると「彼」からの新たな手紙が見つかる。教会に来いと書かれていたので教会に行くとそこには「彼」が。ステアーAUG-A1を臭そうな脇に抱えた「彼」は高らかと演説する。「アメリカのためにアジア人やアラブ人は殺すべきや。ワイはそのためにゾンビ化兵器を造ったんや。その効果をアメリカ人で実験したんや。ワイはゾンビの血中カリウムを燃焼させるバリアーで守られてるからノープロブレムや」この科学的地球市民啓蒙思想に守護された「彼」は無事ゾンビに腹を裂かれて死亡した。

 

 やがて政府の派遣したF-22が街を空爆して事件を闇に葬る。そのシーンは息を飲む凄惨さであった。ゾンビ達がよろよろと歩く背景に半透明の炎が浮かび上がる、それと同時にゾンビ達がこける。これを映画として発表する鋼のメンタルは正直うらやましい。

 

 カメラの性能が悪いのか飛蚊症のようにざらついている映像。役者の声は割れている。ゾンビの登場と同時に鳴り始め、倒すと同時に鳴り止むダサいデスメタル。本作は大学の映研が習作としてつくったのではないか。そう信じることで少しは楽になった気がした。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上