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ダイナソー・ファイター カンフー vs. 巨大恐竜

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あらすじ

「カンフー vs. クソデブ」

 

 ある星ではサイボーグが人間を奴隷にし、それを監視するために恐竜を飼育していた。しかしある時、主人公がサイボーグから脱出し、地球へとやってくる。そして主人公を殺すために恐竜とサイボーグも彼を追って地球へとやってくる。

 

 まずは恐竜について。何の恐竜だかわからないが適当に人間大の獣脚類を作っただけのような適当な考証ぶりには感動を覚えざるを得ない。造形は低予算にしてはそこそこ。90年代の恐竜ブームに乗っかって各地に作られた子ども用テーマパークのゴム製恐竜ぐらいの出来の良さは担保できる。恐竜は足首をひねった陸上部員の様な俊敏な動きで主人公達を追い詰めてゆく。

 ここで特筆すべきこと、それは主人公が恐竜相手にカンフーで戦わないところである。彼は対恐竜戦でもっぱらナイフと鉄パイプで喉を刺突するのみである。これにより我が神国日本が恐竜の襲撃を受けた場合、自衛隊や警察に頼らずとも竹槍で応戦可能であることが判明した点については戦訓上優位な情報を得たと言えるだろう。

 

 サイボーグに至っては、ダサい革ジャン来ているだけのデブである。今にも「主食はマクドナルドです」とか言いそうなその下腹に加え、ゾンビの様な顔色の悪さはT-1000のごとき細マッチョの威圧を我々に感じさせる。主人公はこのサイボーグに対してはカンフーを使い、ほぼ一方的にボッコボコにする。人間のパンチやキックで吹き飛ぶサイボーグなど見たことがあるだろうか?そのくせにこのサイボーグはモブキャラ相手には強い。その力を使って警察署を襲撃し、警官を皆殺しにするシーンについてはターミネーターのモロパクリである。実に清々しいオリジナリティ。知的財産高等裁判所が見たらスタンディングオベーションは必至だろう。

 

 ヒロインの修道女見習いもクセモノである。彼女は元麻薬使用者で売春もしていたが、過去を悔い改め立ち直ろうとしていた。なんだ頑張ってる子じゃないかと思ったのもつかの間。彼女は主人公をマイカーではね飛ばしたあげくに病院に運ばず友人の家に隠匿する。ちなみにこの一幕は主人公とヒロインの出会いのシーンである。最低のボーイミーツガールである。

 

 ヒロインは恐竜が来襲した際、ギャング団のツテで常習性の高い凶悪な麻薬と裏金を手配し、武器商人に渡して対恐竜用の武器をそろえる。なおそれで手に入ったのはショットガン数丁とライフル1丁である。普通に銃砲店で買えバカ。そもそも過去を悔い改めてんのになんでギャング団とツーカーの繋がりを保持しているのか理解に苦しむ。こういう女が犯罪から更生した人間への偏見の元凶となるのだろう。

 

 本作に見せ場やラストと呼べるシーンは無い。ひたすら貧弱なサイボーグとゴム製恐竜をボコるだけの映像から何を見出せばいいのか。

 

 もちろん恐竜を素材にした作品を作ることが難しいのはよくわかる。パーク原作のハモンドは保育園建設反対運動リーダーレベルの自己中老害だったし、ワールドに至ってはCEOが仮免でヘリに乗って自滅するという阿呆の極致を披露している。しかし恐竜そのものには夢があった。本作にはそれが無い。その不足を補うのはサイボーグデブ。もはや救えない。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上