ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

デス・スピード

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あらすじ

「スピード感が死んでいるという意味では正確なタイトル」

 

 主人公は性格がちょい悪のレーサー。彼はスポンサー獲得を懸けて、ライバルの性格がクソなレーサーとサーキットで勝負する。しかしレース中に事故が発生。2人の車はクラッシュしてクソレーサーは死亡。ちょい悪レーサーは何とか生き残るも、レーサーとしての人生と決別した。

 

 それから17年後、ちょい悪はトラック野郎として運送業を営んでいた。ある時、わき見運転のチンカスのせいで彼のトラックが故障してしまう。仕方なく最寄りの街の工場で修理を余儀なくされるのだが、その街は、かつてレースが行われた街だったのだ。

 

 そこで修理工場を営んでいたのは、なんとクソレーサーの兄であった。彼はちょい悪との再会を喜び酒を飲み、そして「見せたいものがある」と彼をガレージに誘う。そこにあったのは、あのレースでクソレーサーが乗っていた車だったのだ。人死にが出た車を「復元してみたwww」とニコニコ動画のノリで飲酒しながら笑って紹介とか、こいつの頭はハッピーセットかよ、と思う間もなく彼は追い打ちをかける。

 

 「実はあのレースの時、俺と弟でお前の車がぶっ壊れるように細工しといたんだよね。そしたら弟がスポンサー獲得できると思ったんだけど、逆に弟が死んじゃったっていうフヘヘ」ちょい悪は当然のごとく彼に鉄拳という名の赦しを与え、バーでヤケ酒を飲んだくれ絶望を味わう。

 

 時を同じくして、復元されたクソレーサーの車が暴虐を振るいだす。クソ車に乗り込んできたヤンキーをシートベルトで圧迫死させたり、トランクで下半身を切断する。あげく、クソ車を復元した兄が車内を覗き込んだ瞬間、サイドウィンドウをギロチン化させ、兄の首をルイ16世風にカットする。なおこれらの殺戮が行われている間、ちょい悪は街の人間から「お前が来てからおかしくなった」「何で帰ってきたんだ」と温かい激励の言葉をプレゼントフォーユーされ続ける。可哀想にも程があるだろう。

 

 やがてちょい悪が街を出ると保安官は「やっぱりアイツが犯人や!」と叫び、部下と共にショットガンを持って追跡を開始する。なおこの保安官は、殺戮が行われた時刻にちょい悪と一緒におり、彼のアリバイの証人となっていることは忘れてはならない。こういった横暴をみるに、やはり革命権というのは思想的には筋が通っているんだなあと、ライフガードを飲みながら適当に脳を回転させた記憶が残っている。

 

 そして、ちょい悪に追いついた保安官。「動くな!抵抗すると撃つ!」「俺は犯人じゃない!」「うっせバーカ黙れボケ」といった知的なやりとりが交わされていると、突然クソ車が爆走してきて保安官を虚空へとはね飛ばす。そして保安官は殉職と言う名のお星さまとなって地上を照らす存在となった。なお随行していた部下の女保安官は、顔面をタイヤで大根おろしにされ、和食へと転職した。

 

 そしてメインのレースシーンが始まると言いたいが、ちょい悪の乗る車とクソ車が直線道路をちんたら走るだけで何も面白くない。こんなのがレースならそこらの車道で調子扱いてる直線番長の勘違いドライバーは皆A級ライセンスを保有していることだろう。あげくラストは、クソ車にフォークリフトと4WDのダブルアタックを仕掛け、プレスして潰すというレースもクソも無い展開である。パッケージの煽り文句では「時速200kmの殺意」などと書かれているが、そんな速度で走るフォークリフトがあるならばぜひお目にかかりたいものである。

 

 本作は上述した殺害に係るグロシーンについては一定の評価ができる。しかし肝心のレースどころか車もあんまり関係ないストーリー。無実のちょい悪をクソレーサーの怨霊が逆恨みで追い回すという根性の捻じ曲がった爽やかな青春ストーリー。友情の美しさを表現するに、これ以上ふさわしい作品を見つけるのは難しいであろう。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上