ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

パニック・チェア

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あらすじ

「それは 変態が創った椅子」

 

 主人公の女子大学院生は、新居に引っ越して心機一転。修論に取り掛かろうとする。もちろんその前に、泡の入浴剤とアロマを香らせたバスタブにヒーリングミュージックをかけ、陰核を弄ってオーゥオーゥと喘ぐセルフセラピーが始まる。

 

 しかしその部屋に住み始めてから彼女は変なジジイの幻覚を見たり、おっさん声の「助けてちょんまげ」という幻聴が聞こえるようになる。心配した姉が見に来てくれるが状況は回復しない。ある日のこと、「助ちょん声」に導かれるままに壁をぶっ壊していたら隠し部屋が見つかった。そこには過去に起きた連続児童殺害に関する新聞記事と、オルゴールが置かれていた。主人公はそのオルゴールの音色を聴く。その日から彼女は確実におかしくなる。

 

 並行して過去の事実が明らかとなってゆく。100年前にガキを狙って拷問椅子で連続殺人をプレイしていた変態野郎がいた。彼は無事ポリスメンにより薬物投与による死刑を受けた。そこに現れたのが催眠術師のジジイである。彼は変態に孫を殺されていたのだ。彼は「お前が死にゆく前にオルゴールによる催眠術をかけて魂を拘束して100年間苦しめてやる」と言い、術をかける。今の感覚からしたらバカじゃねえのとしか言いようが無いが20世紀初頭の科学レベルに加えて、孫を殺された恨みを考えればそこまで攻撃するポイントではないだろう。しかしこのジジイ。偉そうに復讐を果たしたみたいなドヤ顔かましながらやっていたことは零細企業の給与遅配レベルのクソ術であったのだ。

 

 まず、術に使ったオルゴールを100年以内に誰かが開いてしまうと、変態がその人に憑りついてしまうんや!という実に合理的なフェイルセーフがなされている。なぜそんなもんを隠し部屋とはいえ、そこらの家に放置したのか。私ならその糞オルゴールを金庫に入れてコンクリで固めて地中深くに埋める。

 

 しかし残念ながら主人公はオルゴールでバグってしまい、元彼をアイスピックで殺害。変態がかつて使っていた子ども用拷問椅子を作成し、姉を痛めつける。たまたまの来客で主人公が席を外したすきをついて、姉は成人女性の力で子ども用拷問椅子を破壊。脱出に成功する。取りつかれた主人公を助けるにはどうするにはいいか。催眠術師はそれについてもちゃんと記録を残していた。「変態の死体を掘り起こせば解決だぜ!」

 

 そんなもんどこにあんだよ、と膝から崩れ落ちるお姉ちゃん。そこに変なジジイPartⅡが現れて「早く車に乗れ!」と言ってくる。彼はいったい誰なのか?まあ言わなくても想像つくだろう。彼は100年前のアホ催眠術師である。姉が「なんであんた生きとんねん」と聞くと「術の力で人間のパワーを引き延ばしているんだ」とTEDレベルのプレゼンで姉を納得させる。とりあえず姉はこのバカと一緒に変態の死体を見つけてブチ殺し、主人公の家へと戻る。そこには変態から解放された主人公と、変態椅子の犠牲になりかけていた近所の子どもが無事な姿でたたずんでいた。よかったよかった。で終わるかと思ったら、オルゴールを聞いてもいない近所の子どもがバールのようなもので姉妹を殴り殺してハッピーターンである。

 

 ブレーキの存在を忘れた老人とは、かくも恐ろしいものだと認識させるのが本作の趣旨であると考えるのが最大限好意的な解釈である。催眠術師のジジイの本作中の行動は「催眠術で死刑囚を痛めつけるぜ」「それに使ったオルゴールを開けられたら無実の人が被害に遭うぜ」「俺は術を使って長生きするけどオルゴールの管理責任は放棄して第2の人生をすごすつもりだったのに…だぜ」である。恐るべきクソジジイの三段撃ちである。こんなモンを食らったら武田勝頼もそりゃ逃げ出すだろう。

 

 クソジジイ、それは最後のフロンティアなのかもしれない。だが正直そうあってほしくはないし、老若男女問わずクソはさっさと消えて欲しい。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上