ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

プレデタリアン

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あらすじ

「そこそこちゃんと作ってんだから変な邦題つけんな」

 

 数年前に行われたプロムパーティの際に、双子の弟が事故で行方不明になり死亡扱いとなってしまった。それを機に仲間達は疎遠になってしまう。本作は双子の兄が、プロムパーティに参加していた友人たちを集めて弟の慰霊を行い、過去と決別しようという真っ当な目的で計画した旅行における物語である。グループの構成は兄、兄の元カノ、弟の元カノ、黒人男女、ヤリチン&ヤリマンの7人である。

 

 彼らが過去の思い出を話していると、弟の元カノが衝動的にヒステリーを起こし、森の中へ駆け出してしまう。そこでお待ちかね、バケモノの登場である。その造形は特撮に出てくるレベルには仕上がっている。子どもの頃に見た戦隊ものの悪役の様であり、予算相応の許容範囲であろう。しかしその襲撃シーンは残虐無比の一言に尽きる。ヤツは両手両足でそれぞれ円を組み、平泳ぎの様なポーズで襲い掛かる。率直に言えば「ルパンダイブ」というやつである。哀れなことに弟の元カノは「ふーじこちゃーん」的に殺されたあげく大木に磔にされる。

 

 その死体を見て恐怖するメンバー。下山しようにも黒人男が食料品調達のために車を使っているために下山できない。悩んでいるところにショットガンを肩に背負ったノースリーブの女がバイクで現れ「私は女医よ」と自己紹介をする。人は見た目が9割、あの本が売れたのには理由があったんだなあと納得できる場面である。この女医は「お前らヤバいから下山しろ。理由は言わない。言っても信じないだろ(笑)」と言いたい事だけ言って去っていく。だったら最初から来るなという話である。

 

 女医が言うまでも無く下山する気であったメンバーは、徒歩で下山し警察へ通報、もしくは黒人男と合流して車を急ぎグループの元へ戻すことに決める。そのために兄とその元カノは出発する。残された3人の内、黒人女は怯えに怯えていた。彼女を癒すべく、ヤリチンとヤリマンは揃って別室へと移る。結論から言えば2人が行った行為は生物学的に交尾と呼ばれるものである。しかしながら時折漏れ聞こえる「Oh,yes!」「Oh,God!」というフレーズから解るとおり、これは神に救いを求めるための神聖な祈りであることは疑いの余地の無い事である。黒人女は彼らの祈祷に感謝し耳を塞いで体を震わせる。なおこの直後、ヤリチンとヤリマンはバケモノのルパンダイブで神の御心のままに地獄へと送られた。

 

 ヤリチンとヤリマンが無事死亡した後、兄、兄の元カノ、黒人男が戻ってくる。なぜか女医もおまけでついてくる。しかもすぐにバケモノに殺される。女医は死の間際に「あのバケモノは数年前に死んだ双子の弟だぜ」と言い残す。最初から言ってくれよ。

 

 しかしバケモノは兄の元カノを何故か殺さずに誘拐する。そして彼女が持っていた兄の持ち物を懐かしそうに見つめだしたのである。そう、数年前に死んだのは弟ではなく兄だったのだ!双子なのに弟は兄に比べて知力体力も劣っており、それがコンプレックスで兄を殺害した。しかし瀕死だった兄を女医が拾って爬虫類の遺伝子をぶち込んだらバケモノができたというわけである。

 

 弟は「兄さえいなければ俺は幸せになれたんだ!」と叫び拳銃を振り回す。彼は自分を鍛える事もせず、他人に責を求める向上心の塊として模範的市民表彰を受けるべき存在であろう。このカスがグダグダわめいていたせいで黒人男は殺されてしまい、ついでにカスも死ぬ。バケモノ化した兄は元には戻せない。兄の元カノは泣く泣く都合よくその場に置いてあったガスボンベに着火して物語に終止符を打つ。

 

 バケモノのルパンダイブと女医の活動についてはツッコミ所満載であるが、黒人男女はいい脇役としてきちんと演技しているし、兄のふりをしていた弟が逆切れするシーンはキングクズとして背番号11を与えてもいいレベルである。80分と視聴時間が短い事も相まって、本作は「ああ、気持ちよく時間を無駄にしたなあ」と微笑ましくなれる作品である。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上