ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

UFO ―侵略―

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あらすじ

「説明責任を果たせ」

 

 舞台はイギリス、主人公グループはイケメン、優しいデブ、巨乳女、色黒男の4人である。彼らは非常に仲が良くルームシェアで暮らしている。冒頭20分間は、イケメンが美女を口説いてセックスしたり、色黒が飲んだくれてナンパに失敗してボコられたりする微笑ましい映像が延々と続く。これらクソどうでもいい重大なシーンを真顔で見るぐらいならNHKの語学講座を見る方がはるかに有益であろう。

 

 やがて夜が明けると突如巨大UFOが上空に出現。「こいつはヤベエぜ」と考えた主人公達は地縁を悪用してスーパーの副店長を脅し食料品を強奪する。この際、わざとらしく登場したアフリカからの移民に食糧を手渡すシーンからは有徳溢れる偽善のスメルがプンプンと漂ってくる。

 

 その後も映像は続く。優しいデブと巨乳女がセックスしようとしているところに色黒が乱入して「怖くて一人じゃ眠れないんだぜ」と駄々をこねるシーン。訳知り顔の小汚いオッサンが突如道端からアンブッシュをかけ、「俺達はヤバい」「キーワードは24の36だ」「紫に気を付けろ」と言い残して去っていく。この手の映画によく出てくる「意味深なキーワードを一方的に呟いて去っていく」という人種は本当に危機感を持っているのだろうか?本当に危機を知らせたいのであれば相手がわかるように紳士的に話すべきであろう。口頭なら結論→その根拠、論文なら序論→本論→結論というようなアレである。自分の好きなことを一方的に話して去っていくというだけではただのマスターベーションではないか。将来人類のクローン技術が実用化された暁には池上彰のクローンを大英帝国に送り込むことを切望する。なおこのオッサンは結局バグったあげく優しいデブを誤射で殺したあげくに途中で主人公達と合流した軍人の正当防衛射撃でハチの巣にされた。

 

 主人公達と軍人、そして道で拾った少女たちは軍用トラックに乗って、何の脈絡も無く「叔父さん」のところに行く。この「叔父さん」とやらは長年UFOに備えて生きてきたという。人生をフルスイングでドブに投げ捨てた男である。彼の口から断片的な事実が語られる。「昔、イギリスとアメリカでUFOが観測された。向こうは何もしてこなかったし、こっちも何もしない方がいい。下手に手を出すと危険だという事を認識するように。」ということで当時の政権は合意したらしい。凄まじく真っ当な判断であろう。

 

 しかし作中現代の政権は大した理由も無くUFOに攻撃をしかけてボコボコにされている。「業務の引き継ぎがちゃんとしてないと悲惨なことになる」の好例であろう。サラリーマンでこの記事を読んでいる方なら100億ウサイン・ボルトの速さで同意してくれると私は確信している。

 

 まあなんだかんだでよくわからないまま主人公達はぶっ殺されて終わるのだが、本作は徹底的に説明責任を欠いている。道中で拾った少女はUFOに洗脳されたスパイを見分ける能力を持っているが、それはどういった理由によるものなのか?UFOが途中で同士討ちを始めたおかげで主人公達が助かるシーンがあるが、何故UFOは同士討ちを始めたのか?ホームレスの残したキーワードは一体何だったのか?

 

 UFOはあんまり出てこない、内部分裂も今一つ、唯一アクションシーンは力が入っている本作であるが、パッケージに自信満々に書いてある「ジャン=クロード・ヴァン・ダム最新作!」は完全な詐欺であることにご注意いただきたい。彼は女スパイにボコボコにされたあげくにUFOのレーザーで粉にされる。それだけである。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上