ワンコイン・ムービ-レビュー

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ザ・キャット

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あらすじ

「企画段階で止める奴はいなかったのか」

 

 主人公は法学部の女子大生。ある日彼女が夜勉強していると、白髪のヤバいババアがやってきて「永遠の王に全てを捧げろ」「私は選ばれた」などと供述し主人公をビビらせる。本作を通して、ここが一番恐ろしいシーンであるというのが何ともいえない悲しさを感じさせる。モンスターパニックを期待している方はここでブラウザを閉じることをお勧めする。

 

 このババアは主人公の部屋の真上で、他のジジババと趣味の降霊会をおっぱじめる。深夜にパーリーピーポーなジジババというのも素敵な発想かもしれないが、彼らはその会で悪魔をこの世に呼び出してしまう。そしてその悪魔は主人公の飼いネコに憑りついてしまう。

 

 憑りつかれたネコは凶行に及ぶ。駐車違反したオッサンと、それを注意する監視員のオバチャンや、痴話げんかしている夫婦の喉笛を切り裂いて惨殺したり、首を食いちぎったりする。警察比例の原則もクソもない裁きにビビりまくった主人公は動物病院に行き、獣医に「このネコやばいから処分してくれ」と言い残し逃走する。もちろん処分されたのは獣医の方である。

 

 主人公は原因をつくった降霊ババアに事情を聞こうと、その住居を訪れる。しかしあろうことかそのババアはナイフで主人公に奇襲をかけ、それが失敗すると「お前はこの世にいてはいけない悪魔だ」「さっさと消えろ」と心温まる励ましの言葉をかけてくれる。私は疑問で疑問でしょうがない。その悪魔とやらを呼び出したのは一体誰なのだろうか。やりたい放題やっておいて責任は他人におっかぶせたあげくに暴言で逆切れ、実に素晴らしい歳の取り方である。彼女こそ高齢化社会を牽引する模範的市民であることはもはや疑いようのない事実である。

 

 主人公がアパートに戻ると銃で武装した3人の警察官が「あんたの周りで人が死にすぎやから署で話を聞かせてくれや」と詰め寄るが、彼らはあっという間にネコに殺害される。なお主人公は小学校の算数で使う30cm物差しみたいな棒でネコを一発殴って瀕死に追い込む。女の細腕で悪魔を倒せるなら警官や獣医の死には一体何の意味があったのか。

 

 その後主人公はネコの心臓をえぐりとりミキサーにかけるが「どうせこんなことしても無駄よ。悪魔は不死身なんだから」と言い残して液体化した心臓を飲みほす。そして悪魔は主人公に乗り移ってバッドエンドである。度重なる殺人現場を目撃してメンタルにダメージを受けていたと考えれば情状酌量の余地はあるだろうが、やはり結論は「だからといってなんで飲むんだ」としか絞り出せない。

 

 本作を簡単にまとめると、「老害が悪魔を呼び出した結果、無実の市民が多数死亡。主人公は心神耗弱に陥る。なお元凶である老害は生き延びる」という素晴らしいストーリーである。誤解しないでほしいが私は老人を馬鹿にする気は毛頭ない。しかし本作を制作したのはデンマークである。彼らが老人をどういうポジションに置いているのかは全くわからない。あくまで推測にすぎないが、彼らは1940年4月9日に何か大切なものを失ってしまったのではないか。そうでなければこんな映像が作成されることもなかったはずである。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上