ワンコイン・ムービ-レビュー

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WARU 下剋上

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あらすじ

「高等教育を受けた院卒のサクセスストーリー」

 

 本作の主人公は、少年院から出所してきたばかりの元暴走族リーダーである。彼が少年院にいくハメになった理由は「敵対グループが自分たちの縄張りに入ったからバタフライナイフで刺殺した」という論理的正当防衛である。出所後、彼はその行為を「ヤンチャだった」の一言で表現するが、そこからは彼の気高い道徳心と人格を感じざるを得ない。彼はいったい少年院でどんな矯正教育を受けてきたのか。日本の司法に不安を与える導入部からは、すでにゲロのスメルがプンプンしている。

 

 族時代の仲間は皆まっとうな職についていた。1人は夜の店のボーイをしながらキャバ嬢と避妊無のセックスを楽しむ責任感ある人間へと成長していた。もう1人は格闘団体の運営会社に勤務。彼の会社が主催しているのは地下格闘技。「K1やプライドの人気が低迷し、ヤンキーやヤクザが闘う地下格闘技が今大ブームなんだぜ」とドヤ顔で語る友人であるが、そんなものが商業活動として成り立つと思っているのか、法治国家をナメているのかと是非監督に問いただしてみたいところである。

 

 主人公はそのイベントに飛び入り参加してボコボコにされる。しかし彼は、相手の眼窩に指をブチ込むスポーツマンシップ(目潰し:反則技)を発動させ勝利する。当然相手はブチ切れ復讐戦を宣言する。その舞台は地下格闘技の最大イベント「WARU」である。イベントのタイトルから頭の悪さしか感じ取れないのは私の品性が足りないからだろうか。

 

 その後、謎の師匠が現れ主人公を特訓する。そのシーンは努力を見事に写実化している。ふにゃふにゃパンチのスパークリング、ちんたらした走り込み。これらを見るのは視聴者にとっても特訓と言えるだろう。

 

 そしていよいよWARUが開催されるが、その試合模様も実に迫力ある映像美である。固定カメラでリングを映しているだけ。選手たちの技のキレや体さばき、肉体の鍔迫り合いといったものは全く期待できない。そうこうしているうちに主人公は負ける。そして彼は「俺、もっと強くなりたいッス」と言い、朝日に向かってランニングを始めてエンドロールである。

 

 休日出勤が連続した後、やっと見られた作品がこれかよ、と己の不幸を嘆いたが、所詮300円で購入したDVDである以上ある程度の諦めは必要であろう。また師匠の「勝ったからと言って調子に乗ると精神は腐って戻らなくなる」という言葉は同感できる。本作にもまともなセリフはあったんだという擁護はしておきたい。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上