あらすじ
「対独どころか内輪もめ」
本作は第二次世界大戦中、女性だけで編成されたソ連軍飛行部隊の活躍を描く作品ということになっている。しかし本作の空戦シーンは全く緊張感が無い。飛んでいる飛行機の映像をツギハギしただけと言っても言い過ぎではないレベルであり、その上戦闘シーンもごくわずかである。
リアリティも実に素晴らしい。ナチスドイツ軍の戦闘機に追撃される中で、ナチスドイツ軍の戦車が進撃中の地上に強行着陸して少年を救い出すシーンなどはご都合主義にも程がある。彼女たちのヒロイズムを黙って見逃しているナチスドイツ兵の知能はエースコンバットのAIにも劣るレベルであろう。
その後は救った少年の取り扱いについて微笑ましい内ゲバが視聴者を唖然とさせる。上官は「最前線に少年を置いておくなんて危険極まりないから安全な孤児院へ避難させる」と正論を展開するが部下の女兵士達は「別にええやん。この子可愛いし。」と人道的な発言で少年の身を銃弾にさらす蓋然性を高める。女兵士達は少年にピストルを撃たせたりマシンガンを触らせたり飛行場の整備を手伝わせる。やってることは少年兵の洗脳と大差ない。少年に温情をかけるシーンが続いたと思えば、少年が、女兵士と男がいちゃついている時に偶然出くわした際に女兵士は「ガキは消えろ」と暴言を吐く。ご都合主義にも程があるだろう。かといって上官は小言を言うだけで事態は改善しない。指揮系統の機能していない軍隊なんぞ猿の群れにも劣る。
その後の出撃でも女兵士達は「任務が成功すればパラシュートなんて邪魔なだけだぜ」と戦争をナメた発言でパラシュートを投げ捨て出撃し、見事全滅する快挙を成し遂げる。
そして時間はいきなりワープ。部隊はドイツへ進撃。女兵士達は「パーティよ」と狂いだし、ドイツの民間人から接収した家屋のカーテンを引きちぎりドレス代わりにするという誇らしき略奪行為をはたらく。彼女達こそはパーリーピーポーの恥さらしとして顕彰されるべきであろう。
本作は戦争映画としてはゴミ同然である。戦闘シーンはしょぼく、内輪のゆるい雰囲気からは戦争の悲惨さは全く伝わらない。戦死者についてもその原因は全て彼女達自身が招いたものであり同情のどの字も浮かばない。本作が76分と短めの映画であったことがせめてもの救いであった。
最後に、本作に登場する女兵士達のモデルとなったと思われる部隊について参考リンクを貼り付けておく。本作は史実における彼女たちの奮闘を侮辱するものであるということをここに付け加えておきたい。
総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)
★☆☆☆☆
以上