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世界侵略:ニューヨーク決戦

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あらすじ

「視聴者に決戦を挑む意欲作」

 

 主人公は事故で脳に後遺症を負った女性。彼女が桟橋を散歩していると何の脈絡も無くエイリアンの攻撃が始まる。なお本作においてはエイリアンの姿かたちは一切出てこないことを初めに申し上げておく。とりあえずこの攻撃で健常者は脳をやられてゾンビ化してしまう。ただ、精神疾患等で脳に障碍のある人間はゾンビ化を免れる。主人公は生き残りと合流して今後の方策を考える。なお生き残りのメンバーは主人公の他には、戦場でPTSDにかかった元軍人、ヤク中の兄ちゃん、統合失調症のオバチャン、変なオッサンの5人である。

 

 本作における戦闘シーンは対ゾンビのものしかないが実に撮影技術の優れた迫力ある映像である。全力でブレまくるカメラ、たびたび変色する色調補正、無意味に切り替わるカット。これらは他人に見せるという事を全く考慮していない点においてヘドロの様な清々しさを感じさせてくれる。登場するゾンビも半裸のオッサンだったりブリーフの兄ちゃんだったりで、恐怖のきの字すら感じることはできない。

 

 ちなみにパッケージにも写っている車輪型のマシンは、そこらをウロウロしてオバサンをシバいたり、昼寝をしたりするだけで大した脅威ではない。また、変なオッサンは「メックス」だの「アルファ」だのわけのわからん用語をポンポン出すことで視聴者を煙に巻こうという素晴らしいプレゼン能力を発揮する。

 

 とりあえず要約すると、主人公は宇宙人の中継器としてゾンビを操る力を持っている。エイリアンは彼女を使って侵略を進めようとしている。その理由はコストカットである。本気で意味が分からないのは私の脳が低レベルだからだろうか。

 

 物語は視聴者を無視して淡々と進む。統合失調症のオバチャンと変なオッサンがゾンビ化して撃ち殺されたり、ヤク中の兄ちゃんが自爆したり、主人公と軍人がセックスしたり、盛り上がりも必要性も感じられないシーンの連続は堅実に視聴者の神経を逆なでしてゆく。

 

 最後の戦いでは主人公がもう一人の中継器である黒人の兄ちゃんを撃ち殺した後、軍人を操作して自分を射殺させて終わりである。主人公が操作できるのはゾンビだけじゃないのかよ、とか、相手を強制的に操って撃たせるようなトラウマを軍人に与えるぐらいなら自分で頭撃って死ねよと思うがもうどうでもいい。

 

 ラストは1人生き残った軍人が海を見つめてハッピーエンド、と製作者は思わせたいようだが私は絶対に騙されてたまるか。

 

 そもそもエイリアンの攻撃で健常な地球人は全滅している。あげく中継器となる予定だった主人公や黒人が死んだところで、エイリアンの攻撃続行は可能であろう。多少コストが上がるだけという話でしかない。

 

 本作は問題を何1つ解決せずに、視聴者を無責任に荒野に放り出した説明不足のマスターベーションムービーである。評価に値する点は全く見い出せない。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上