ワンコイン・ムービ-レビュー

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ロスト イン バトルフィールド

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あらすじ

「トンネルを抜けると死んでいました」

 

 メインキャストは米兵5人組の偵察小隊。彼らは任務中に竹のトンネルをくぐって謎の集落にたどりつく。そこには放棄されたテントと塹壕があるだけで敵の姿は無い。どうなってるんだと訝しんでいたら、彼らの周囲を黒装束の集団がフワフワと散発的に舞い始める。

 

 なんやねんこの状況、と皆が慌てている中で1人の兵士が魔法の箱を持ってくる。それは一見弾薬箱の様に見えるが、望んだものがなんでもでてくる箱だった。「チキン食いてえなあ」と言っていたらチキンが出てくるし、「冷えたビールが欲しいぜ」といったら冷えたビールが出てくる。「巨乳の姉ちゃんがいれば完璧だぜ」と言えば巨乳の姉ちゃんが出てくる。なお、巨乳の姉ちゃんをリクエストした兵士は彼女に連れ去られ消滅した。

 

 この状況を兵士の1人が推理する。「ここはあの世とこの世の中間地点。俺たちはすでに戦死していて、ここであの世に旅立つのを待ってるんだ」私が隊長ならこいつの股間を蹴り上げてしゃべれないようにするだろうが、チームは皆「もしかしたらそうなんじゃね」と彼の考えを受け入れる。そうしてちんたらだべりながら飲食しているうちに、1人また1人と消滅していく。最後に残った隊長は「トンネルを元来た道にくぐれば戻れるんじゃないか」と抜群の脳の回転力を発揮する。常人なら集落を怪しいと感じた時点で撤退するべきだと思うのだが、さすがは世界最強アメリカ軍、慎重に慎重を重ねて思考しなければ戦場では生き残れないということを、彼を通じて伝えたかったのだろうか。

 

 隊長はトンネルにたどりつく。しかしそこでみたものは自分たちチームの死体だった。やっぱり自分たちはすでに死んでいたのだ。絶望した隊長は「俺まだ死にたくないんスけど」と喚きながら消滅する。その後「戦場ではこの様なことはめずらしくない」とクレジットが流れて作品は終了である。

 

 本作は一体もって何を主張したかったのか皆目意図を掴みかねる。戦場での怪奇譚にしては根拠不足で妄想の類としか言いようがないし、反戦の発言やテーマめいたものも見受けられない。かといってアクション映画にしては戦闘シーンはゴミであり、ミステリーとしてはストーリーが雑すぎる。本作をどう好意的に解釈しても「戦場って何がおきても不思議じゃないんやで」という一言を冗長に90分間映像化しただけの作品としか言いようがない。確かに戦場では何がおきるかわからないのでこれを否定する気はないが、かといって本作の設定にうなずくこともできない。本作は喉に魚の小骨が刺さったような不思議ちゃん的な作品である。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上