ワンコイン・ムービ-レビュー

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決断の45口径

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あらすじ

地上げ屋は死ね」

 

 本作の主人公は老農場主の下で働くヒゲオヤジ。彼はかつて無頼漢の一員だった頃があったが、その悪の過去を悔やみ、人生をやり直すためにこの農場で真面目に働いていた。そんな彼の頑張りを老農場主はしっかりと見ていたようで、自分が死んだあとは彼に農場を託すとまで言い切るほどの信頼を抱いている。まるで三国志演義陶謙の様な好々爺である。

 

 しかしある企業による鉄道敷設計画が動き始め、鉄道用地として老農場主の土地もその対象となってしまう。企業も一枚岩ではなく、住民との対話を重視する穏健派と、早期開発を重視する過激派に分かれている。このうちの過激派は、かつて主人公が所属していた無頼漢達を雇って近隣住民を襲撃して土地を奪うという暴挙に出る。その手段は射殺、刺殺、焼殺と非道の限りが尽くされた残虐なものである。

 

 さすがの老農場主も退去を考えだしたころ、酒場で主人公と無頼漢達との間で突発的に銃撃戦が発生。老農場主は流れ弾を胸に受けてしまう。彼は「自分の亡骸を妻のそばに埋めてくれ」と言い残しこの世を去ってしまった。これを見て主人公達は農場を守る決意を固める。その一連のシーンの1つで、モブキャラが老農場主の墓の前で悔しさを噛みしめる場面。これはベタではあるが視聴者の心をつかむニクい好演出であると感じた。

 

 やがて穏健派のリーダーのメガネが農場を訪れ、老人の死について謝罪し、鉄道敷設計画について大幅な譲歩案を提示する。話がまとまる方向にむかうかと思いきや、無頼漢達は身勝手にも逆上し、主人公達に突如発砲、制止を求めるメガネの声も空しく、激しい銃撃戦が繰り広げられる。

 

 主人公達は皆勇敢に戦い、無頼漢達を次々と撃ち倒してゆく。しかしながら多勢に無勢、仲間は次々と敵の銃弾に縫われ、主人公も致命傷を負い、とどめを刺される瞬間まで追い込まれる。その危機を救ったのはメガネの放った銃弾だった。彼は非力な事務屋ながらライフルを拾い、無頼漢のボスを射殺して事態を鎮静化させる。瀕死の主人公は生き残った農場の少年小間使いに農場を託して息を引き取り、本作は幕を下ろす。

 

 本作の白眉は鉄道会社を単純な悪として描いていない点である。それはメガネのセリフによって表現されている。「鉄道の敷設により商業活動が盛んになり街が発展する。交通網の整備により警察力は機動性を向上させ、法の支配の及ぶ地域を広げることができる。無頼漢の無法がまかり通るような暴力の時代はもう終わりだ」と、要約すればこのような主張であり至極真っ当である。穏健派が主導権を握っていれば企業と市民の調和による発展劇が見れたかもしれないと思うと残念な思いが沸き上がるが、それをやったらアクション映画にならないじゃんと言われればどうしようもないので、ちょっぴり複雑な気持ちである。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上