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ガーゴイル・トゥルーパーズ

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あらすじ

ナチスが蘇らせた伝説の悪魔ガーゴイルVSアメリカ空軍」

 

 本作に登場するガーゴイル(大)は無敵で、部下であるガーゴイル(小)を無限に増やすことができる。その空戦能力は第二次大戦最強と謳われるP-51戦闘機の編隊をも駆逐する。この悪魔を倒すには聖なる槍が必要という設定である。

 

 メインキャストであるアメリカ空軍の爆撃機搭乗員達は乗機をガーゴイルに撃墜され、降下した先でイギリス空挺部隊の生き残りや現地レジスタンスと協力して戦うことになる。

 

 本作の登場人物は総じて魅力が無い。指揮官クラスの米軍少佐は堅物でリンドバーグを尊敬しているという設定だがそれはストーリー上何の意味も発揮しない。あげくイギリス軍にもベテランの少佐がいるため、渋いオッサンとしての地位を築くことにも失敗している。魅力のないオッサンがダブって登場する光景は薄めすぎたカルピスの様で微妙である。

 

 若手兵士も問題である。特に無鉄砲で活きの良い軍曹と冷静沈着な大尉の二人はいがみあうライバル関係の様に描写される。戦闘を通じてお互い信頼関係を築いていくのかと王道展開を期待していたのだが、大尉は大した活躍も無くいつの間にか死んでおり、軍曹は槍を振り回して遊んでいるだけである。

 

 敵であるナチス将校に至っては住民を無意味に虐殺した後は稚拙な指揮で部下を死に追いやり、捨て台詞を吐いて死ぬという高潔な死に様を提供しただけである。彼らを登場させる意味は無いと間違いなく断言できる。

 

 ラスボスとして恐怖を演出すべきガーゴイル(大)もあまり活躍はしない。奴がその力を発揮したのはイギリス兵1人を真っ二つにした時ぐらいであり、後は洞窟の中を保育園児の様に駆けまわるだけで、そこに伝説の魔物の威厳は存在しない。ガーゴイル(小)にいたってはショットガンやSMGにより簡単に撃退可能な戦闘力である。登場当初こそ脅威として描かれていたが、ストーリーの進展に伴いただの的と化していくその様は悲しさを感じさせる。

 

 ラストは「ドイツ軍から奪った爆撃機ガーゴイル(大)に体当たりをかまして槍をブッ刺すぜ」という物理学に則った理知的な攻撃案が提示される。「体当たりの衝撃で乗ってるお前らが死ぬだろ」などとは言ってはいけない爆撃機は時速数百キロの速度でガーゴイルにドスコイをかまして槍をブチ込み、大した損傷も無く大空を舞いエンドロールである。こんなクソの様なカミカゼで悪魔が倒せるのなら、零戦と竹槍を装備した日帝が米鬼を駆逐できなかったのは何故なのか。本作は先の大戦について隠された何らかの謎を提起しようとしていると考えるのは邪推であろうか。

 

 以上ボコボコに叩いてはいるが、本作は適当なストーリーで90分をちんたら過ごせる低予算映画としてそれなりにまとまっているため、なんだかんだで最後まで気楽に見られるものである。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上