T-REX
あらすじ
「遺伝子工学によりティラノサウルスを蘇らせることに成功した企業。そこに武装した産業スパイが研究データを奪うために侵入、セキュリティを全て解除してしまう。そして解き放たれたティラノサウルスが人々を襲う」
あらすじを読んでいただいた映画好きの方々はデジャヴを感じたはずである。「産業スパイ」「セキュリティ解除」「恐竜脱走」これらのワードが重なり合うと、デニスでネドリーな百貫デブの活躍を思い浮かべざるを得ないだろう。有体に言えば本作はパクリの劣化品である。
本作で猛威を振るうティラノサウルスの造形は、低予算映画であることを考慮しても酷いの一言である。おもちゃコーナーで安売りされているビニール人形のような物体がカクカクと動く映像。これが21世紀に制作された映画であるという事実には絞り出すべき言葉も見つからない。
あげくティラノサウルスはメインキャスト達とあまり絡まない。襲われるのはほとんどが一般市民である。その襲撃シーンにしても、ティラノがガオーと吠える→市民が叫ぶ→市民が頭からパックリ食われる、の三段論法の繰り返しである。延々と続く苦行的映像を見ていると、学生時代のインターバルトレーニングを思い出した。
メインキャストである企業の遺伝子学者と産業スパイ達は恐竜そっちのけで人間同士のバトルを展開する。なお、学者とスパイのボスが湾岸戦争時に同じ部隊に所属しており、両者には確執があったという設定があるのだが、具体的にそれが何なのかは明らかにされないまま物語は進んでいく。お互いが「お前なんか大嫌いだ」と陰毛の生える前のガキレベルの理屈で争っている姿を見るというのは非常に生産性の高い行為であると思えてならない。
本作は、恐竜が適当に暴れて、人間が内ゲバをこじらせて戦って、最後は爆弾で適当に吹き飛ばすという爽快感溢れるストーリー展開である。本作は「恐竜」という夢溢れるコンテンツに汚物をなすりつけるがごとき傑作であると論評できる。
総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)
★☆☆☆☆
以上