ワンコイン・ムービ-レビュー

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ワイルドサヴェージ

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あらすじ
「闇取引されていたベンガルトラが森へ逃げ出して人々を襲う」

 

 本作においては虎の恐怖がしっかりと表現されていた。虎は隠密に獲物に近づき、その恐るべき攻撃力をもって次々と市民を牙にかける。もはや地元の治安当局では対処できないと判断した主役の保安官は、市民の安全を第一に考え、州兵の出動を要請する。

 

 さすがに軍が出てくれば、虎もそう長くないだろうと思ったがそれは全くの見当違いだった。動員された州兵はわずか数名、一個小隊程度の戦力である。広大なアメリカの森林を捜索するには潤沢すぎる人員であろう。平和な国日本ですら、イノシシが山中に現れた時には十分な数の猟友会員や警察官が動員される。世界で最も実戦経験豊富な米軍がこのような愚かな兵力編成を行った理由を是非問い詰めてみたいところである。挙句の果てに州兵の指揮官は「俺たちは殺しのプロだぜ」などと自己を過大評価し虎の脅威を全く認識していない。この時点で彼らの運命は明示されたも同然であった。彼らは虎退治になんの貢献もせず、国民の血税で購入した貴重な銃弾を無駄に浪費して、虎の胃袋に収まるという重要な任務を遂行し、本作から無事退場した。

 

 そこに突然マグナムライフルを持った虎殺しのプロを名乗る老人が表れて、虎退治に加わる。このマグナムジジイは子供を虎から守りながら奮戦する。そこに駆け付けた保安官が虎を倒してハッピーエンドである。本作はアニマルハザードものの佳作と言えるそれなりの出来の良さであった。ストーリーや俳優もなかなかで、登場人物も、州兵を除いてバカが存在しないというのが素晴らしい。

 

 あえて苦言を呈するとすれば、最終決戦時のカメラワークである。保安官が燃料タンクを撃って爆発させ虎を倒すという流れなのだが、カメラが引きすぎていて虎の突進の恐怖や保安官の銃撃の迫力が伝わってこない。タンクへの射撃についても、保安官が狙って狙撃したのか、乱射した弾がまぐれで当たったのかが判別できない。狙撃とまぐれ当たりでは大きな差があるため、この点については残念な映像と言わざるを得ない。また作中登場する少年が虎と精神感応する描写があるのだが、その理由については全く説明がなされていない。少年は聖書を暗記する敬虔なキリスト教徒であるため、そこに原因が求められるのかもしれないが、残念ながら私は宗教については無教養であるため考察することはできなかった。己の無学を恥じるのみである。

 

 ところで、作中でマグナムジジイがヒンドゥー教の教えだといって「人は幸福や子孫や富ではなく、犠牲によってのみ不滅に達する」との格言を教えてくれた。これにはなかなか共感するところがあったため、出典ぐらいなら探せるだろうと軽く検索をかけてみたところ、サイババとかいう舐めた名前のオッサンの名言集を載せたページにて、ヴェーダ聖典からの引用としてこの格言が記載されていた。なお上述した通り私は宗教に関しては無知蒙昧なためサイババだのヴェーダ聖典だのについては全く知識が無いことを重ねて表明しておく。一応参照したURLを記載しておくので、興味のある読者諸氏は拝見されたし。

 

http://www.sathyasai.or.jp/mikotoba/m_veda.html

 


総合評価・星4つ(ステキやん?)
★★★★☆

 

以上