ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

カミングアウト・オブ・ザ・デッド

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あらすじ

「撃つな!僕はゲイだ!」

 

 本作は気楽に楽しめるコメディーよりのゾンビものである。うわーゾンビだマジかよキャーとかほざきながら草刈り機でゾンビの首をぶった切ったりする映画。疲れた体を癒す夜のお供として適格だろう。

 

 とはいえそれなりに見どころもある。メインキャラクターがゲイのカップルとアラブ系女性というラインナップであるためマイノリティをディスる系のネタがそれなりに散りばめられている。不謹慎万歳。それなりに考えて楽しむこともできるのだ。

 

 お気に入りのシーンを少し挙げてみよう。アラブ女性は逃げ込んだ先の地下室でホワイト・トラッシュに拷問される。ここでの登場人物はアラブ女性と彼女を助けようとして感染した奥様、武器を手に息巻くクソオヤジに自立できないナードの息子である。感染した奥様が死にゆくなか親父は武力でマイノリティを恫喝しナードは無力という構図。奥様を「寛容」、親父を「政府」、ナードを「国民」として捉えてみればどうだろう、常在戦場のとある超大国の姿が浮かび上がってこないだろうか。Vote for Trump!

 

 ゲイのカップルが助けを求めて教会に逃げ込むシーンも笑えた。なんと教会の神父は信者たちとビンゴ大会に熱中しておりゾンビ騒ぎに全く気付いていなかったのだ。気づいた後の動きもクソそのもの。ゾンビにはまともに対処せず、ゲイには神罰が下るなどと説教を始める。ここから読み取れるメッセージは何か。それは神は危機にあって機能しないということだ。民草の苦しみなぞ我関せずで内々の享楽にふけり、追い詰められてなお汲々とするのは自己保身。奴らにできることといえばせいぜい十分の一税の取り立てぐらいのものだろう。

 

 『ショーン・オブ・ザ・デッド』以来の傑作!とは過剰広告だと思うが、500円という値段には十分こたえてくれるであろう本作。心に余裕のある方はワゴンを漁ってみてはいかがだろうか。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上