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新★三銃士 ニュー・ジェネレーションズ

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あらすじ

「考えたら負け」

 

 本作は、ガバガバ設定のストーリー内で個性ある一部のキャラクターがそれなりに盛り上げてくれる、価格相応のまともな映像である。

 

 ある日ある時、アメリカ軍最強の特殊部隊である「三銃士」が北韓に潜入、オペレーションを開始するも、何者かの陰謀により北韓の地対空ミサイルが大韓民国のジャンボジェットを撃墜するという結果を生んでしまう。これに対し大韓民国北韓に報復攻撃、アメリカも決断を迫られる。

 

 主人公(女)の名はダルタニアン。彼女は陸軍犯罪調査局に勤務しており、ある日ジジイとおしゃべりする。ジジイは「アメリカが戦争しやすいように工作する部署があるんや。今回の朝鮮半島の一件もそいつらの仕業やで。」と情報提供した後、諸葛瑾の様な顔をしたオバハンに撃ち殺される。危機感を強めた彼女は「三銃士」と接触を図る。

 

 ここで三銃士のメンバーを紹介しよう。ボルトスは腹の出たイケメン親父。射撃は下手だがITに強い。使用する小型端末に「いいぞその調子だベイベー」と言える実力を持つ。アトスは東南アジアでポン引きやってそうな若者で格闘戦が得意。アラミスは女性。細身なのに体が凄まじくたるんでいるのが気にかかったが服を着れば美人である。彼女は格闘、銃撃、ハニートラップに長けた万能型である。

 

 彼等との共同作戦により「枢機卿」なる人物を中核とした組織が北韓に戦争を吹っ掛けようとしていることが明らかとなる。「枢機卿」達はその戦争がアメリカの利益になると主張するが具体的にどんな利益が発生するかについては一言も語らない。戦争になったら100億%の確率でウォッカやパンダが介入してくるだろとか、北韓を倒してもその後発生する難民はどうするんだといった当然の疑問については完全無視である。難しいことは地平線の彼方へ投擲し、ダルタニアンと三銃士は「枢機卿」とドンパチ。正義は勝ってフィナーレである。

 

 本作の魅力、まずは東南アジアで麻薬を売ってそうなアトスについて語ろう。彼はミドル級の肉体を無駄に惜しみなく使い画面を躍動させる。ただ窓に近づいて様子を見るだけなのに机の上を回転しながらジャンプしたり、わざわざ無駄に手すりを駆け上がってジャンプして射撃するなど、軽業師の様なその動きは本作に過剰なアクセントを持たせることに成功している。

 

 次に枢機卿を演じる男性。彼は頭頂部が禿げ上がっている初老であるにもかかわらずM9を片手に現役軍人やシークレットサービスを至近距離で射殺し、アトス相手に肉弾戦まで挑む武闘派である。イケメンではないがカッコいい。戦うジジイは最高である。病院を集会場代わりにして税金で遊んでいる老害はぜひ本作を視聴してもらいたい。

 

 最後はドローンを使った空中戦である。もちろんCGのレベルは高くない。しかし空対空ミサイルを搭載したグローバルホーク2機を相手に主人公達のヘリがドッグファイトするシーンは魅せるものがあった。

 

 細かいツッコミどころはもちろんある。北韓軍がなぜかオスプレイを装備していたり、アラミスの使っているショットガンが日本の安物エアガン(おそらくSⅡS製品)だったり、ラスボスの国防省将軍が「フェンシングでケリをつけよう」とか訳わからん事を言い出して死んだりするが、こういうチープなところも安物映画なりの魅力として受け止めるべきであろう。本作は短所もあるが長所がそれを若干上回る及第点の作品である。

 

 

総合評価・星3つ(500円の価値有)

★★★☆☆

 

以上