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エイリアン・ライジング ALIEN RISING

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あらすじ

「車で逃げろや」

 

 舞台は荒野の田舎。そこではガソリンスタンドを営む爺ちゃんとその娘の植物学者が慎ましく暮らしていた。しかし、スタンドにガソリンを届けにくるタンクローリーが事故を起こしてしまう。主人公の女性保安官が現場に向かうと、そこに運転手の姿は無く、残されていたのは蟹の脚に似た甲殻類の様な不気味な残骸だけだった。

 

 そして主人公はガソスタに行き、植物学者に依頼をする。「これは車のパーツよ。調べてちょうだい」。Wait a minuteである。蟹の脚をドヤ顔で車のパーツと認識できるホモサピエンスは果たしてこの星に何人いるのだろうか。100億万光年ゆずって仮にそれを車のパーツだと強弁することを許したとしても、その鑑定をなぜ植物学者に依頼するのか。ストリートレベルの公務員の問題。官僚制批判の中で勉強した事であるが、この映画はエイリアンの映画のはずなのになぜ行政学の問題を考えなくてはならないのか。とにかく本作の主人公は基本ポンコツである。

 

 その後はウザい黒人が出てきて「なんでタンクローリーが事故んだよジジイ」と八つ当たりを始め、「俺の車は高級車だ」と自慢をかましてコーラを飲む。なおこの黒人は全く活躍せずに死ぬ。さらに「私はハリウッドで女優になるの」とほざきながら友人をオンボロピックアップトラックに軟禁し爆走するビッチやチャラ男も登場する。なおビッチの友人も気付いたら死んでた。

 

 一方、鑑定をしていた学者の姉ちゃんは「ヤベエよこれ、地球のもんじゃないッスよ」とビビりだす。時を同じくして正体不明のバケモノが近隣の村や主人公達を襲いだす。この戦闘シーンを鑑賞するためには暗視ゴーグルが必要である。真っ暗闇の夜中に黒いバケモノが出て来る。襲われる人はさらに暗い室内に逃げるけど見つかってウギャーである。こんなもん部屋に暗幕はってウギャーって言ってりゃ撮れるんじゃねえの。

 

 バケモノから皆を守るためガソスタ爺ちゃんが身を張ってショットガンで応戦して死亡。とりあえず逃亡した先で得たのは優秀なメンバーだった。彼はアホみたいな刺青を入れたクソハゲである。彼はこう語る。「900年前に、ある部族と共存していた1体のエイリアンが暴走して部族を壊滅させたんや。部族は最後の力で植物から調合した毒を使ってエイリアンを昏倒させたがエイリアンは今復活してもうた」「おっ!お前らの中に植物学者おるやんけ!よっしゃ毒作れや!」である。

 

 アホの極みである。前述した通り皆のために犠牲になった爺ちゃんのショットガンはエイリアンにダメージを与えていた。車で逃げて仲間集めて一斉射撃で片付ければいいだろうに。部族が毒を使ったのは900年前ではエイリアンに抵抗できる武装が無かったからであろう。それなのになんでわざわざエイリアンが近づいてくる中で毒を調合せにゃならんのか。このクソハゲからは「エクセルは信用できん!電卓を使え!」という有能な上司のオーデコロンの香りがする。

 

 しかしアホな主人公はクソハゲに銃を奪われ、学者は嫌々毒を調合させられる。そして完成した毒をクソハゲが麻酔銃で撃ちこむ。エイリアンに0のダメージ!ふざけんなクソハゲ。そのせいで怒り狂ったエイリアンからビッチを守るためチャラ男が犠牲になる。

 

 ここでご都合主義的追加設定がアンロックされる。「この辺にはウランの鉱脈がある!植物とウランを混ぜればええんや!」である。そうして完成した毒を持って主人公が特攻。自らも内臓を貫かれるも相打ちで毒を注射器でブチこんでエイリアンは昏倒。めでたしめでたしである。なおクソハゲは毒をブチ込むのに失敗して死亡。その身を大地の養分とすることで初めて世のために貢献することができた。

 

 以下は作品の評価と関係無いことである。さらに私は化学の知識が皆無であることも先に伝えておきたい。私は子どもの頃に『学習マンガ キュリー夫人』で彼女がラジウムを取り出すために旦那さんと一緒によくわからん土を鍋でかき混ぜまくって体調不良に陥っていた記憶がある。本作ではウランを“素手で”こねくり回している。「ウランを素手により植物毒と融合!ハイパーポイズン発動!」みたいなノリでええんやろか。それだけといえばそれだけなんですが、なんかこう反町隆史ですね。

 

 

総合評価・星1つ(神が憐れむレベル)

★☆☆☆☆

 

以上