ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

パラサイトX

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あらすじ

「愛を知りたい(愛を知りたいとは言っていない)」

 

 エイリアン「地球人が強いのは愛という感情があるからだ」。このはた迷惑な理由で1人のエイリアンが地球にやってきて愛を学ぶために潜入する。そう、「潜入」であって「寄生」はしないのである。開始3分程度でタイトル崩壊などワゴン界では特に珍しい事ではないのでここはさらりとスルーして話を見ていこう。

 

 潜入したエイリアンは女性の身分を偽造して小学6年生の担任として潜入する。ところで、このクソブログを読んでいる人々に聞きたい。「学ぶ」際に自分がどういう行動をとるのかについて。私の場合はその分野の実務経験者が書いた入門書をまず読み、興味が深まれば定評ある古典などに手を伸ばしてゆくスタイルをとっている。比べること自体おこがましいが、維新の時代を生きた人々は私財を全て投げ打ってまで海外に飛び立ち知識を吸収した。このように、能動的であれ受動的であれ、見知らぬ分野を開拓したいのであれば、その分野の先駆者に敬意を払って然るべきである。

 

 しかしながらエイリアンは敬意などケツ毛ほどの価値も無いとばかりに「学び」を蜂起して、何故か見知らぬ分野を「教える」側に立った上、あげくそのフィールドに小学校を選択している。そこではとても効率的な「学び」が展開される。彼女は教壇に立つなり「テメェらみたいな無能は見たことねえ」と宣言。抗議した女生徒には「うるせえ」と頭を下げ、出っ歯の男子には「歯を矯正してから登校しろ」と引きこもり問題の解決に向けた提言を行う。サッカーが好きなぽっちゃり男子には「ロナウドが好きなら痩せろデブ」とエールを送る。一通り皆をディスり終わった後、彼女はくりぃむしちゅー上田の様にブハハハハと笑い出す。

 

 全く無知な分野について上から目線で小学生に説教する彼女の姿はまさに老害の生霊と形容できるだろう。彼女は本気で学ぶ気があるのだろうか。「パソコンがわからんから教えろ」と言うのが日課のクソ上司レベルである。こんなエイリアンが住む星なんぞ愛を知ろうが知るまいが近い内に滅ぶであろうことは自明である。

 

 彼女の見事な潜入工作は小学生たちに「こいつヤベエ」と疑念を植え付けることに成功。小学生たちは彼女の隠れ家に潜入。するとそこでは彼女がニワトリを生で食べていた。それを見た小学生はウギャーと叫んで逃げ出す。しかしストーリー進行には特に影響は無い。

 

 ラストは修学旅行の宿泊先で、主人公がエイリアンを農業用破砕機にブチ込んでアスタラビスタベイベーである。エンディングロール前には地球の画像が映し出され「愛は勝ったのだ」とオッサンのナレーションが挿入されるが、本作でまともに愛がテーマになったシーンは一度も無い。エイリアンのババアが上から目線でニワトリ食ってただけの映画でよくもまあここまでドヤ顔できるもんである。

 

 最後に1つ、作中中盤で主人公の少年が悪夢にうなされ夜中に目覚め水を飲むというシーンがあった。何故か少年は黒のボクサーパンツ1枚で階下に降り、薄暗がりの電灯の中でその肉体、無駄な脂肪の無い華奢な、それでいて筋肉の付きかけているそれを見せつけている。あげくその肉体は悪夢のせいでほのかに汗ばんでいる。この異様なセクシーシーンは幸いここだけで終わったが、もしこの児童が脱ぐシーンが何度も挿入されていたらと考えると身が震える。本作は愛も糞もない児童ポルノと化していたかもしれないのである。この想像が私の杞憂であることを願いつつ筆を置くこととする。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上