ワンコイン・ムービ-レビュー

ワゴンセール等で500円程度で投げ売りされている映画を愛するブログ

アナコンダ・アイランド

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あらすじ

「御社の経営理念に惹かれました!(そんなものは無い)」

 

 あるワールドワイドでグローバルな国際企業が、毒ヘビのもつ成分を研究してガン治療薬を作ろうとしていた。しかし社長は「なんとなくヘビの毒をめっちゃパワーアップしてみたんだぜ。ちなみにヘビはめっちゃ凶暴になって並みの攻撃が通じないんだぜ」と訳の分からないことを実行、あげくにヘビは当然の様に集団脱走する。

 

 本作の主人公である元軍医の短髪イケメンは、のどかな田舎暮らしを求めて辺境の島の診療所を継ぐためにやってくる好青年である。そこに運よく強化毒ヘビがやってきて、地元住民を食い殺しはじめる。死亡者の中でも、エロ担当の女優の死に様には斬新なものがある。彼女はヘビが足から這いずってくるのを彼氏の愛撫と勘違いし「そこはダメよぉん」とかほざいているうちに局部から噛み殺されて死亡した。今まで多少なりとも映画を見てきたつもりであったが、クンニで死ぬ登場人物には初めてお目にかかったし、なによりもクンニ死の役を受け入れた女優の心中はいかばかりだったのか。まさにGod knowsというやつであろう。

 

 やがて島中はヘビでいっぱいになってしまう。大半は高台のホテルに避難するが、逃げ遅れた人々をどう助けるか。答えは消火器である。主人公達は、消火器を噴射しながらヘビを撃退して人々を救い出す。並みの攻撃が通じないという前提が砂上の楼閣の如く崩れ去った瞬間である。

 

 やがて企業が事実を隠ぺいするために部隊を送り込んでくるのだが、この部隊がまた素晴らしい。猛毒のヘビが相手だというのに防護ジャケットどころか厚手の作業着すら身に付けていない。それどころかTシャツの隊員までいる始末。ボスらしき悪役のオッサンに至っては高そうなスーツでご登場である。お前はヘビと商談する気で来たのか。

 

 まあとにかく部隊がきたことで島民は安心。「あんたらが乗ってきたボートで帰れるやんけ!」と喜ぶが、主人公達は「ホテル周辺にはまだまだヘビがいるんだから、そいつらをなんとかしないとどうにもならんぞ」と正論を吐く。しかし世の中正論が通るなど幻想であることは自明である。島民の半数以上が「こんなとこにいられるか!俺は他人のボートに乗るぞ!」とフラグを立ててホテルから飛び出し全滅するという集団自決同然の最期を遂げた。

 

 主人公達は、残ったまともな脳みそを搭載した島民達を救うため一計を案じる。ヘビが熱に反応することを利用し、除草に使う農業用小型火炎放射器をつかってヘビをおびきよせ、その隙に島民たちをボートに乗せることに成功した。囮になった主人公達は、メンバーの1人である女の園芸店に立てこもる。しかしここもそう長くはもたない。

 

 そこで女店主は発案する。「ここにある肥料で爆薬を使ってヘビをぶっ飛ばすのよ!」肥料で爆弾?と思われた方もいるだろうが、事実これは「アンフォ爆薬」と言う立派な福祉用品であり、Amazonあたりが売り出したらダーイシュのゴミ共がクリック連打で購入する事間違いなしの品物である。こんな物騒なモンを製造できる田舎の島民なんてめちゃくちゃ嫌である。ましてスローライフを求めてやってきた主人公からしたらこの女は悪魔同然であろう。しかし悪魔はヘビに勝つ。大地を富ませ作物を産み出すはずの肥料は兵器として魔改造されてヘビをぶっ殺してハッピーエンドである。なおスーツのオッサンは死ぬ。

 

 本作に登場する役者達は頑張っている。主人公はもちろん、悪魔店主やクンニ女ですら迫真の演技で焦りや恐怖を演じている。しかし役者の演技力以外は全てクソである。ストーリーは「ヘビが繁殖してヤバイ」で終わる。アナコンダと言っておきながら巨大ヘビは出てこずに小さなヘビがチョロチョロでてきて消火器でなぎ倒される。そもそも企業は何故ヘビを強化したのか?兵器産業の陰がちらつくわけでもなくノリで「毒、強めてみました」では栄養ドリンクの宣伝と大差ないではないか。アナコンダと企業、すなわち「敵」と「悪」の設定が不足しており全く魅力が無い。本作はストーリーや設定をちゃんと固めないと役者がいくら頑張っても限界があるよねという反面教師として教材利用する価値ぐらいしか認められない。

 

 

総合評価・星2つ(500円の価値無)

★★☆☆☆

 

以上